喜びは「逃避」でしかない
日本と中国を結ぶ航空路線が政治的圧力によって大量欠航し、これに対しネット上で「また変な感染症が流行り出してるから、良かった!としか言いようがないw」という声が上がっている。
この安堵感は、過去のパンデミックや外交危機から生まれたシニシズム(冷笑主義)という名の防衛本能である。
しかし、この「良かった」という感情の裏側には、公衆衛生と外交圧力という、二つの極めて危険な現実が隠されている。
欠航の裏にある「二重の懸念」

今回、杭州-名古屋間など12路線で全便欠航となり、日本行きの便全体の欠航率が21.6%に達する見込みだ。
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主たる原因は政治的圧力: 中国政府が、高市首相の台湾有事に関する国会答弁に反発し、日本への渡航自粛を呼びかけたことが直接的な原因である。これは、移動の自由を経済的・政治的レバレッジとして利用した明確な外交戦術に他ならない。
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付随する健康懸念: 同時に、中国国内での新たな感染症の発生や拡大が報道されており、過去の経緯から、多くの日本国民の間に「渡航制限はむしろ歓迎すべき」という潜在的な健康リスクへの安堵感が生まれている。
安堵とシニシズムの構造
この「良かった」という意見は、二つの深刻な社会の闇を映し出している。
まず、政治的圧力への無力感だ。
外交問題で航空路線が停止するという事実を前に、人々は「政治で解決する」よりも「移動が止まってくれてラッキー」という、目の前の脅威を一時的に回避することに価値を見出している。
これは、巨大な政治的圧力に対する屈折した逃避であり、中国の圧力戦術を間接的に成功させていることにも繋がる。
次に、公衆衛生に対する信頼の崩壊だ。
特にCOVID-19の経験から、多くの人々は中国当局の感染症情報に対する透明性を信用していない。その結果、公的情報による安心よりも、「人が来ないこと」による物理的な隔離に安心を見出している。
このシニシズムは、国際的な協力による防疫体制を否定することに等しい。感染症は国境を選ばず、情報開示が遅れること自体が、世界全体のパンデミックリスクを増大させる最大の要因となるからだ。
この「安堵」は、欠航によって一時的に恐怖を遠ざけたにすぎない。問題の根源である「政治的圧力」と「情報不信」は、何ら解決していないのである。
【結論まとめ】:見えない脅威への警戒を
航空路線全便欠航を喜ぶのは、政治的圧力と健康リスクという二重の脅威に対し、人々が取る防衛的なシニシズムの現れである。
しかし、この一時的な安堵に浸っている間に、中国政府による経済的な「見せしめ」という、より大きな問題が進行していることを忘れてはならない。
私たちは、単なるフライトの欠航ではなく、外交カードとして利用される経済インフラと、情報不信が招く世界的な感染症リスクという、二つの見えない脅威に対して、引き続き冷静な警戒を続けるべきだ。



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